レンタルオフィスで起業するには?開業・登記の流れやメリット・デメリット
近年、働き方が多様化する中、起業・開業を志す方も増えています。新たに事業を始める方におすすめなのがレンタルオフィスです。
今回は、レンタルオフィスを本拠地として企業・開業するメリットを解説します。デメリットや登記上の注意点も解説するので、ぜひ参考にしてください。
レンタルオフィスは起業時の開業許可の申請や登記が可能
レンタルオフィスでは、起業・開業が可能です。事務所要件が定められている一部の業種を除き、開業届の提出や法人登記も法的に問題ありません。一般的な会社設立やスタートアップ、個人事業主・フリーランスの方の開業など、さまざまな起業シーンで活用されています。
ただし、運営会社の方針によっては法人登記が不可だったり、別料金となっていたりするサービスもあるため注意しましょう。
レンタルオフィスで法人登記できる?会社設立の方法・費用とメリット・デメリット
レンタルオフィスで起業する流れ
レンタルオフィスで起業するプロセスを、5つのステップに分けて説明します。
1.事業計画を立案する
起業するにあたって、まずやるべきことは事業計画の立案です。起業の目的や事業の内容をまとめるとともに、市場や競合のリサーチを踏まえ、マーケティングや売上などに関する計画を立てます。上記の内容をまとめ、必要に応じて事業計画書を作成してください。
2.レンタルオフィスを契約する
次に、会社の所在地となるレンタルオフィスを選定します。会社の所在地は、開業届や法人登記申請書に記載するほか、親近調達における融資などの際にも必要となるため、起業前に定めておかなければなりません。なお、レンタルオフィスの契約手続きの主な流れは以下のとおりです。
- 見積り
- 内見
- 申込
- 審査
- 契約
- 支払い
そのうち重要なプロセスとなるのが「見積り」と「内見」です。サービスによって料金や期間、利用条件が異なるため、複数社に相見積もりを取って比較・検討のうえ選定してください。また、Webサイトやパンフレットなどの情報だけでは分からない部分もあるので、内見で実際の雰囲気を確認してから申し込むと失敗が少ないでしょう。
3.資金を調達する
事業の形態によっては、起業の際に資金調達が必要です。なお個人事業主として開業する際は、事業資金の報告は必要ありません。
一方、法人登記の際は、あらかじめ資本金を設定しなければなりません。資本金は1円から設定可能です。ただ、設備・備品の購入や仕入れなどにまとまった資金が必要となるため、最低でも3カ月〜半年分の運営費用を資本金として準備しておくことをおすすめします。
以下では、起業における代表的な4通りの資金調達方法についてみていきましょう。
融資
融資とは、金融機関や信用金庫、日本政策金融公庫などから資金を借り入れる調達方法です。また、独自の融資制度を設置している自治体もあるため、担当窓口へ相談してみるとよいでしょう。ただし、融資には審査があるほか、返済や利息の支払などの義務が生じるため、綿密な計画を立てる必要があります。
出資
出資とは、他企業や団体から資金提供を受ける調達方法です。主に株式発行とベンチャーキャピタルの利用の2つの方法があります。いずれも返済の義務はありませんが、出資者への利益還元が必要です。
補助・助成制度の利用
現在、起業時に利用できる次のような補助・助成制度が設置されています。
補助・助成制度の種類 | 関連団体 | 制度の概要 |
---|---|---|
起業支援金 | 経済産業省 | 地方および東京圏の条件不利地域で起業する際、最大200万円の事業費助成が受けられる |
ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金 | 中小企業庁 | 各種制度改革に対応した商品・サービス開発や生産プロセスの改善などのための設備投資に対し、費用の種類ごとに一定の金額の補助金が受給できる |
IT導入補助金 | 中小企業庁 | 中小企業・小規模事業者などの業務効率化やDX等に向けたITツール導入費用の一部が補助される |
小規模事業者持続化補助金(一般型) | 商工会議所 | 小規模事業者の販路開拓にかかる経費の3分の2(最高50万円)の補助が受けられる |
地域中小企業応援ファンド(スタート・アップ応援型) | 独立行政法人 中小企業基盤整備機構 | 創業や販路開拓などに取り組む中小企業に対し、中小機構および都道府県、金融機関などによるファンドによる資金の助成が受けられる |
金融系外国企業・人材に対する一時的オフィス提供事業 | 東京都 | 新たに東京での拠点設立を検討している金融系外国企業に対し、東京進出に向けたための一時滞在支援が受けられる |
上記の利用の際は、各団体への申請・許可が必要です。補助金・助成金を活用すれば、企業にあたっての初期費用が大きく抑えられるでしょう。
クラウドファウンディング
近年は、クラウドファウンディングを利用した資金調達もトレンドです。審査が必要なく、インターネットを通じて出資者を募るため、幅広い資金調達が可能となります。ただし、購入型のプロジェクトでは、出資者への返礼が必要です。また、出資はあくまでもユーザーの任意です。あらかじめ設定した目標金額に達しない場合は、プロジェクト失敗となり資金調達ができないので注意してください。
4.開業・法人登記の申請を行う
企業の準備が整ったら、開業届または法人設立届に必要事項を記入し、管轄の税務署に提出しましょう。開業に関する書類の様式は、税務署へ直接取りに行くほか、国税庁の公式サイトでダウンロードすれば取得できます。また、一部の会計ソフトや開業・会社設立サポートサービスなどから開業申請することも可能です。
法人化する場合は法人登記が必要なので、各種登記申請書に記入し、必要書類を添付のうえ管轄の法務局へ提出します。また、オンラインでの申請も可能です。法人登記のほか、許認可の申請や従業員に関する届け出が必要な場合は、その手続きも進めましょう。
レンタルオフィスで法人登記できる?会社設立の方法・費用とメリット・デメリット
5.法人口座を開設する
届出・登記の手続きを終えたら、商号(社名)を名義人とする法人口座を開設します。法人口座の開設には、専用の申込書のほか、以下の書類が必要です。
- 会社および代表者の印鑑登録証明書
- 商業登記簿謄本(履歴事項全部証明書)
- 定款の写し
- 手続きする人の本人確認書類
上記の証明書は、原則として発行から6カ月以内のものを用意しましょう。許認可の必要な事業では、有効期限内の許認可証も提出しなければなりません。
また書面のほか、金融機関によってはWebでの口座開設手続きが可能です。その場合、建物謄本や賃貸借契約書など運営の実態が証明できる書類が別途必要になります。
必要書類をすべて揃えたら申請手続きを済ませ、審査に通れば法人口座の開設が完了です。なお法律上、法人口座がなくても問題はありません。しかし、法人口座があると社会的信用度が上がり、融資が受けやすくなったり、法人名義のクレジットカードが発行できたりといったメリットが得られます。
起業・開業に向いているレンタルオフィスの種類

レンタルオフィスにはさまざまな形態がありますが、これから起業・開業を考えている方には以下のサービスをおすすめします。
- サービスオフィス
- バーチャルオフィス
- インキュベーションオフィス
サービスオフィス
サービスオフィスとは、より高付加価値な設備やサービスを提供するレンタルオフィスです。ラグジュアリーなオフィス家具、高性能かつセキュリティレベルの高い機器が基本料金内で利用できます。また、起業・開業直後では手の届きにくいハイクラスな立地が手軽に利用できるため、対外的な信頼性の向上およびブランディングにも有効です。
さらに、有人エントランスでの受付・来客対応や秘書業務など、多彩なサービスが用意されているのも特徴で、利便性の向上やコスト削減につながります。別途オプションとして会議室や応接室などに使えるフロア・ルームのレンタルも可能であり、必要に応じて組み合わせれば、充実したオフィス環境が手軽に整うでしょう。サービスによって細かい立地やサービス内容、契約形態が異なるため、ニーズに合わせて選ぶことが大切です。
サービスオフィスとは?シェアオフィス・レンタルオフィスとの違いや活用シーンを紹介
バーチャルオフィス
バーチャルオフィスとは、形式上の住所を提供するレンタルオフィスです。いわゆる「住所貸し」とも呼ばれ、現実に利用できるワークスペースは存在しません。プライバシー保護や、対外的なイメージアップを目的に利用されるケースが多い傾向にあります。
バーチャルオフィスの利点は一等地の住所が安く利用できることです。また、受付・電話や郵便物の対応、コワーキングスペースなどを提供しているバーチャルオフィスもあり、利用者のニーズに応じて選べます。ただし、開業に物理的な事務所を必要とする一部の業種では利用できない点に注意してください。
レンタルオフィスと住所貸しサービスの違いとは?リスクとベネフィットを徹底比較
インキュベーションオフィス
インキュベーションオフィスとは、起業・開業の支援に特化したレンタルオフィスです。公的機関の事業として展開されているサービスが大半で、専門家によるコンサルティングや相談受付など、事業の開始をサポートする多彩なサービスが提供されます。
ただし原則として、インキュベーションオフィスを利用するには、審査に通過しなければなりません。また、利用期間が原則1〜5年程度に限定されているため、いずれ別の拠点を探さなくてはならないことを踏まえて利用しましょう。
新人起業家にレンタルオフィスをおすすめする理由と活用の注意点
ここからは、レンタルオフィスを利用して起業するメリットとデメリットを解説します。
レンタルオフィスで起業するメリット
レンタルオフィスを会社の所在地として起業・登記することで、新人起業家によくある次のような課題が解決できます。
- 初期投資費が節約できる
- ビジネスに関する知識・人材不足が補える
- セキュリティが強化できる
- 人脈作りや顧客・販路拡大の機会が得られる
レンタルオフィスを会社の所在地として起業・登記することで、新人起業家によくある次のような課題が解決できます。
また、個室の占有スペースや、有人エントランスが設置されているサービスを選べば、プライバシーやセキュリティ対策が強化できます。ネットワーク環境もホストが管理しているほか、占有回線が利用できるサービスもあるので安心です。
さらに同じ建物に同居する多彩な企業・事業との交流が生まれるため、人脈作りや顧客・販路拡大の機会に恵まれるでしょう。
レンタルオフィスで起業するデメリット
レンタルオフィスで起業する際は、次の点に注意してください。
- 外装・内装や設備の大規模な変更はできない
- 料金が割高になる場合がある
レンタルオフィスの外装・内装や各種設備は、原則として大幅に変更できません。また、オプションを追加していくうち、割高になることがあるため注意してください。費用の安さだけではなく、自社のニーズや課題と照らし合わせ、コストパフォーマンスのよいレンタルオフィスを選びましょう。
起業・開業に適したレンタルオフィスを探すなら「エグゼクティブセンター」

費用を抑えて起業したい方には、レンタルオフィスがおすすめです。開業・登記のサポートを提供しているサービスもあり、うまく活用することでスムーズに事業が始められるでしょう。特に、ハイグレードなサービス提供に特化したサービスオフィスを自社オフィスにすれば、はじめから有利にビジネスが展開できるはずです。
起業・開業時に利用するオフィスサービスを探しているなら「エグゼクティブセンター」へご相談ください。上質な立地や内装設備、専門家によるビジネスコンシェルジュサービスで、スタートアップの成功を全面的にバックアップします。
関連記事
2025年4月25日
レンタルオフィスの料金は?東京の個室月額とシェア・サービスオフィスとの比較2025年3月20日
サービスオフィスとは?シェアオフィス・レンタルオフィスとの違いや活用シーンを紹介2025年4月25日
サービスオフィスの価格は?東京・横浜7エリアにおける月額料金の相場と賃貸との比較