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サテライトオフィスとは?メリット・デメリットとこれからの時代に即した選択肢
現代は働き方の多様化が進む時代です。働き方改革の一環として、サテライトオフィスを設置するケースも増えています。今回は、サテライトオフィスに関する知識や設置のメリット・デメリット、自社に適したオフィスの選び方などをまとめました。
サテライトオフィスとは
まず、サテライトオフィスの基礎知識を押さえておきましょう。
サテライトオフィスの意味
「サテライトオフィス」とは、本社や本拠地から離れた場所に構えた小規模オフィスの総称です。英語表記の「satellite(衛星)」からも分かる通り、本拠を中心に、従属的な位置付けのオフィスという意味があります。
サテライトオフィスを設置する目的は、主に従業員の通勤のしやすさやテレワークといった多様な働き方を実現することです。本社には及ばないものの、ICTを利用し、本社と連携しながら業務を進めるために必要な環境が整っています。
サテライトオフィスは国を挙げて推進されている働き方改革を実現する手段の一つです。近年は多くの企業が導入するほか、複数社の共同事業として展開されているケースもあります。
サテライトオフィスと支社の違い
サテライトオフィスと支社は、基本的には同じ意味ですが、大きな違いはオフィスをどのような観点で捉えるかという点にあります。事業や業務としての観点での呼称は、支社や営業所です。働き方という視点からみると、サテライトオフィスとなります。
サテライトオフィスとテレワークの違い
サテライトオフィスとテレワークの違いは、それぞれの分類にあります。サテライトオフィスは、オフィスの形態です。一方、テレワークはワークスタイルのことであり、サテライトオフィスにおける働き方の選択肢として存在しています。
サテライトオフィスのニーズが高まった背景
次に、近年サテライトオフィスへのニーズが急上昇している背景を2つの視点からみていきましょう。
少子高齢化の進行
現在、国内では少子高齢化が進行中です。高齢者の増加と労働人口の減少が同時進行する中で、従業員一人ひとりのパフォーマンスを最大化する働き方の重要性が高まったことで、サテライトオフィスへの注目度が高まっています。
働き方改革と男女参画社会の実現
現在、男女共同参画社会の実現を目指し、育児やプライベートと仕事が両立しやすい労働環境に整備されつつあることも、サテライトオフィス増加の一因です。誰もが働きやすく、自分らしく活躍できる環境を企業主体で整えることで、従業員ロイヤリティの向上や、優秀な人材確保に有利に働きます。
サテライトオフィス設置の現状
2024年にまとめられた調査報告によると、大都市圏におけるサテライトオフィスの設置状況は、2017年以降増加傾向です。2024年時点では29.7%と前年より減少したものの、大きな変化はみられません。2022年をピークに減少に転じた在宅ワークと比べると、働き方改革推進の波が後押しとなり、今後のさらなる増加の可能性があります。
出典:大都市圏オフィス需要調査2024春|ザイマックス総研の研究調査
サテライトオフィスの区分
サテライトオフィスには、大きく分けて以下3つの区分があります。
- 都市型サテライトオフィス
- 郊外型サテライトオフィス
- 地方型サテライトオフィス
都市型サテライトオフィス
「都市型サテライトオフィス」とは、本社・本拠地と同じ区域内に設置するサテライトオフィスです。営業所と同じ位置付けであり、外勤や営業などの業務の機動性を高めるほか、通勤しやすい環境を整えるという役割も担います。
また、地方の企業が都市部にサテライトオフィスを設置するケースも、都市型に含まれます。生活の拠点は都市部のまま、地方創生や地域密着型の事業が展開できる点が魅力です。
郊外型サテライトオフィス
「郊外型サテライトオフィス」とは、その名の通り郊外に設置するサテライトオフィスです。主にベットタウン周辺に、働き方改革や、ワークライフバランスの充実を目的として設置されるケースが多い傾向にあります。仕事とプライベートが両立しやすくなるため、女性躍進にもつながる制度だといえます。
地方型サテライトオフィス
「地方型サテライトオフィス」とは、都市部に本社・本拠地を置く企業が、都市部に進出する際に設置するサテライトオフィスです。主に事業・販路拡大や、BCP(事業継続)対策、ワーケーションなどを目的としています。
都市部にある本社とサテライトオフィスの距離が離れていても、ICTを活用すれば問題ありません。各自治体主導の地方創生策として誘致しているケースでは、補助・助成制度が受けられる場合もあります。
サテライトオフィスの選択肢
サテライトオフィスを設置する際には、主に次の4つの形式が選択肢となります。
- テナント形式
- レンタルオフィス形式
- シェアオフィス形式
- 自治体による試行形式
テナント形式
「テナント」とは、オフィスビルや商業施設などの一角を賃貸する借主です。つまりテナント形式とは、いわゆる賃貸物件のことであり、一般的には不動産の賃貸借契約を結ぶことで利用できます。
テナント形式は、基本的に自社専用のオフィスとなるため、内装や設備をある程度自由に設置できる点が魅力です。ただし、テナント契約では高額な初期費用がかかる傾向にあります。物件の立地や建物の状態にもよりますが、月数十万〜数百万円程度の賃料の支払いが発生します。また契約時には、敷金・礼金の支払いや仲介手数料、火災保険料などの支払いを求められることが多いため、合計すると莫大なイニシャルコストとなるでしょう。オフィスの規模によっては、本社と同程度の開設・運用費用がかかることも覚悟しておかなければなりません。
レンタルオフィス形式
「レンタルオフィス」とは、一定の条件でワークスペースを貸し出すオフィスソリューションの総称です。自社オフィスを持たないという選択肢であり、ワークスペースと、そこにあらかじめ設置された設備および各種ビジネスサポートが利用できます。個室のプライベートオフィスのほか、よりクオリティの高いサービスオフィスなど、サービスによってさまざまな形態のオフィスが提供されています。
レンタルオフィスは、オフィス運営にかかるコストを大きく抑えられることがメリットです。利用料が月額制のサブスクリプションになっているケースが多く、初期費用は保証金や共益費などごくわずかな範囲となっています。
また、オフィスをスピーディーに設置できることも特徴です。サービスによっては、簡単な申込手続きや審査を済ませて契約を締結するだけですぐに利用開始できることもあります。
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シェアオフィス形式
「シェアオフィス」とは、フロアの一角を占有スペースとする、いわゆる間借り形式のオフィスです。コワーキングスペースもシェアオフィスの一種に含まれます。
シェアオフィスは、他社やその他の事業主などとオフィスを共同で使用するスタイルです。社外交流が活発になる可能性が高まり、新たなビジネスチャンスをつかむきっかけが得られるかもしれません。
ただし、シェアオフィスは他社と共有するという性質上、セキュリティ面でさまざまなリスクが生じる恐れがあります。また、まったく同一の住所や電話番号を複数社で使用するため、関連するトラブルにも注意しなければなりません。
くわえて、シェアオフィスはテナントやレンタルオフィスと比べ、社会的信用度に劣るという認識が一般的です。そのため、口座開設や融資などの審査で事業内容を厳しくチェックされることもあります。従って、オフィスを安全に運営し、対外的な信用度を高めるには、実績豊富で健全かつセキュリティ対策が徹底されたレンタルオフィスを選定することが求められます。
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自治体による試行形式
自治体によっては、サテライトオフィスが体験できる事業を展開していることがあります。例えば、次のような事業が存在します。
- TOKYOテレワーク・モデルオフィス
- おためしサテライトオフィス
自治体運営のサテライトオフィスは、無料もしくは格安で運営が体験できる点が魅力です。ただ、その多くがあくまでも試行的なプロジェクトであり、テレワークに適した環境整備の前段階として活用することが想定されています。
サテライトオフィスを設置する5つのメリット
ここでは、企業がサテライトオフィスを設置するメリットを5つの項目に分けて説明します。
一人ひとりの労働生産性が向上する
サテライトオフィスの設置で、それぞれの従業員がより良く働けるようになれば、企業や組織に対する満足度が向上します。従業員のロイヤリティが高まり、モチベーションも上がって、労働生産性の向上が期待できるでしょう。また、通勤や外出の時間も削減できることも、業務効率の向上につながるポイントです。
テレワークの導入が進む
ICTが発展した現代では、非出社型のワークスタイルが浸透しつつあります。とはいえ、サテライトオフィスの普及が進んでいるのは、大企業や一部の中小企業がメインです。また、テレワークに変えたくても、費用面や家庭の事情などから、自宅に業務遂行にふさわしい設備・環境を整えるのが難しい方も少なくありません。サテライトオフィスを導入すれば、手軽にテレワークが実現できます。
経費が削減できる
通勤しやすく働きやすい環境を整えることは、経費削減の観点からも効果的です。サテライトオフィスは小規模であることが多く、オフィス運営にかかるコストが少なく済みます。また、通勤費や交通費の削減にもつながり、かさみがちなコストをカットできるでしょう。
優秀な人材が囲い込める
働きやすい労働環境が整った職場は、離職が少ない傾向にあります。環境面の充実は、対外的なアピール力が強く、優秀な人材を多く招き寄せる効果が期待できます。また、家庭の事情や距離などの問題から働けないでいた人材を発掘することにもつながるでしょう。
災害や有事に備えられる
サテライトオフィスには、災害やテロ、サイバー攻撃などのトラブルの保険としての役割もあります。これは、2011年に発生した東日本大震災をきっかけに、都市部への機能集中への懸念が高まったことに由来する考え方です。
データの保管場所が本社だけでは、有事の際に企業の情報資産がすべて消失しかねません。サテライトオフィスに本社のバックアップ機能を持たせておくことで、トラブルを最小限に留められるほか、早期復旧にもつながります。
サテライトオフィスを設置するデメリット
続いて、サテライトオフィス設置の際に気をつけるべき2つのポイントについて説明します。
コミュニケーションや管理に行き違いが生じやすくなる
サテライトオフィスのように本社との物理的な距離が隔てられたオフィスは、どうしても意思疎通や確認に行き違いが生じやすくなってしまいます。例えば、本社・サテライトオフィス共同でプロジェクトを進めている場合、進捗やちょっとした確認が取りづらくなることもあるでしょう。
また、従業員一人ひとりの勤怠管理や勤務態度の確認が難しくなり、正確な評価に支障をきたす可能性もあります。ICTツールを最大限に活用して情報共有を徹底したり、オンラインミーティングを定期的に実施したりなど、距離を感じさせない体制の構築が必要です。
セキュリティリスクが高まる恐れがある
自社占有ではない建物にサテライトオフィスを設置する場合、社員ではないビジネスパーソンや、自社の顧客ではない方が建物内に出入りすることがあります。情報漏洩や盗難、音漏れなどのリスクが生じる恐れがあり、資料・情報の取り扱いや、電話・会議などのときには、セキュリティ対策やプライバシー保護に細心の注意を払わなければなりません。また、インターネットや電話の回線を共有するオフィスを利用する際は、サイバーリスクの懸念もあります。
また、オフィスの形態によっては共有スペースが設置されており、そこでのトラブルにも気をつけなければなりません。安全性や防音性の高いオフィスを選定したうえ、セキュリティに関する社内規定を明確化し、周知徹底することが大切です。
東京にサテライトオフィスを導入する際に申請できる補助金・助成金
サテライトオフィス設置の際には、補助金や助成金の支給対象となることがあります。以下では、2025年9月現在実施されている補助・助成制度を紹介します。
人材確保等支援助成金(テレワークコース)
「人材確保等支援助成金(テレワークコース)」とは、テレワーク導入で人材確保や業務改善を図ろうとする中小企業を対象とする助成金です。一定の条件を満たすことで、制度導入助成として1企業あたり20万円が支給されます。さらに、目標を達成した際には、目標達成助成として1企業あたり10万円、5%の賃上げを実施した場合は15万円が支給されます。
サテライトオフィス勤務導入奨励金
「サテライトオフィス勤務導入奨励金」とは「公益財団法人 東京しごと財団」の雇用環境整備事業です。テレワーク推進を目的とし、サテライトオフィスの設置および規定の整備を実施した都内中堅・中小企業などを対象に奨励金が支給されます。支給金額は、一つの企業につき10万円です。計画段階で申請し、取り組みを実施したうえ、審査で実績があると認められた場合に支給されます。
サードプレイス活用促進事業(サテライトオフィス勤務導入奨励金)
「サードプレイス活用促進事業(サテライトオフィス勤務導入奨励金)」とは、サテライトオフィスの実施および社内規定の整備を行った都内の中堅・中小企業を対象とする奨励金です。東京都産業労働局の事業として展開されています。一定の要件を満たして申請すれば、10万円の奨励金が支給されます。
サテライトオフィスの設置は「エグゼクティブセンター」で!
働き方やオフィスの在り方が見直されているいま、サテライトオフィスの重要性はさらに増していくことが予想されます。いずれ、ICTを活用した場所にとらわれない働き方がスタンダードになる未来が訪れるかもしれません。
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